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『ガールズ&パンツァー劇場版コンプリートブック』で追憶する西住みほという少女の物語 

『ガールズ&パンツァー』は、西住みほという戦車に愛された1人の少女の生き方を描いた物語だ。 テレビ版で彼女の物語は開花し、劇場版では彼女の周りに枝分かれしたいくつもの花が咲いた。青春群像活劇であり、同時に我々男心をくすぐるマッシブで緻密なメカニズムを内包した濃厚なドラマだ。
当然ながら劇場版はとてつもない情報量を有した作品で、映像的にも音響的にも中毒性のあるエフェクトが効いている為、何度も足繁く劇場に通うガルパンおじさんを大量増産してしまった。劇場版を追体験するガイドブック的な書籍は今までにいくつか発売されてきたが、今回初めて「コンプリート」と名の付く書籍が発売された。


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▲『ガールズ&パンツァー劇場版コンプリートブック』。


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▲もはやおなじみとなった劇場版からの新キャラクターのあんな顔やそんな顔、中の人へのインタビューはもちろんのこと。


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▲エキシビジョンマッチ、そして大学選抜チームとの決戦の地の詳細データも網羅。


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▲このコンプリートブックが他の書籍とは決定的に違う点。
それは製作スタッフへのインタビューの殆どが、「キャラクター性」に焦点を当てて語られているということ。ここで言うキャラクターというのは 登場人物は当然として、このアニメに至っては戦車ですらキャラクターだ。 キャラクターの情報量と密度が濃すぎるが故に、未だに多くのリピーターを産み出して劇場でロングランヒットを続け、ガルパンおじさんはそのキャラクター性を持ち帰って享受し、連鎖反応が起こる。

自分が思うに、この作品はキャラクターと設定のバランスが絶妙なところで浮かんでいる。
例えば、「戦車道」というキーワードだったり、みほ達が暮らしている学園艦がある世界であったり、割と大きな括りのアウトラインはガバガバでユルユルな設定値だったりする。 「特殊なカーボン」とかその最たるものだ。ご都合主義と言ってしまえば楽だが、それはそれで面白くない。これは巧妙な乱数調整である。
反して、登場する戦車のディテールたるや相当なものだ。わざと史実の設定に忠実にせず、ぎりぎりフィクションにならないレベルで戦車という兵器を「ガルパン世界仕様」としてフォーマット化している。戦車に限らず、この作品に登場するあらゆる大道具・小道具・ガジェットは、かなりのところまで緻密に練られた使われ方をしている。

そして登場人物。ストリートファイターか、或いはGガンダムか。ほぼ全員が全員、イロモノとも取れるような面子でありながら、そんな女の子達が、見た目・性格という記号の範疇を超えた言動と挙動で魅せてくる。 このバランスの駆け引きである。
ある程度見る者に想像の余地を残しておきながら、一方でとんでもない情報量で描き込まれたキャラクター達。それらを一括りにして都合よく表現できるワードが、結果として流行した「いいぞ」という一言に集約された。そもそも一言でこの作品をうまいこと言い表すのは到底無理だ。ガバガバでユルユルな世界観と、その手の第一人者とも言えるスタッフ達が集結して作り上げたキャラクターが、綱を引いて緊張感を保っている。 そんなバランスを安易な言葉で簡単に崩すのはナンセンスである。
よくガルパンのストーリー性にダメ出しする人を見るが、はっきり言って話自体はとてつもなくステレオタイプだとは思う。戦車道の大会で優勝して、廃校が免れたかと思ったら今度はさらに格上と戦う。アウトラインだけをなぞれば退屈だが、そこに彩りを添えるキャラクターがごまんと居るとすればどうだろう。いわゆる「キャラ物」としてはかなりの水準をマークするであろう本作の理由が次第に紐解けてくる筈だ。


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劇場版コンプリートブックには、西住みほという少女の在り方、そして彼女を取り囲む「キャラクター」に、より一歩迫れる内容が詰まっている。 もちろん、劇中に登場した戦車やその他諸々マニアックな小ネタの詳細データも満載なので、ガルパンFebriと並べてガールズ&パンツァー劇場版を補完するマスターピースと言えるだろう。


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▲ちなみに前売り特典や来場者特典のイラストもコンプリート。手に入れられなかったあの絵柄を一挙に楽しめる。
そういや新春ポストカードって3月あたりでも配ってた劇場あったよね。さすがに引き伸ばしすぎだろうと思ったけど、そもそもそこまで伸びるのがロングランヒットした所以だったりするので、改めて劇場版のパワーは凄かったんだな、と思ったり。

でもこの調子だと立川シネマシティあたりは本当に1周年が来るまで上映してそうだよね。
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